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自分との戦いの記録:四万十川ウルトラマラソン(100キロ)

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完走から2日経ってようやく脚が曲がるようになってきました。痛みを忘れる前に、激走の想い出を記しておきたいと思います。

 

2017年10月15日高知県の四万十川ウルトラマラソン(100キロ)に出走しました。全国から2000名余のランナーが参加。

 

僕は2013年に阿蘇カルデラウルトラマラソン(100キロ)を増田さんと山本さんの支えでなんとか一緒に完走させていただいたのを機に、もうこれで思い残すことはないとマラソンを引退宣言していました。

 

しかしながら、昨年12月のキリマンジャロ登頂において5000m地点でのまさかの高山病発症で途中下山、自分自身への雪辱を果たす機会が何かないかと伺っておりました。

 

そんなとき、夏に増田さんがまた一緒に100キロエントリーしてみましょうとのお誘いについ応じてしまったというのが、今回の苦行のスタートです。

 

10月14日 坂本龍馬への思いを馳せて、高知へのフライト。雲が多く、とにかく雨が心配でした。

       

 

今回は、マラソン大好きで経験豊富な重岡先輩(58にはみえません)を隊長に、おなじみの増田さん、そして、マラソン始めたばかりなのにサブスリーの記録を持つ弁護士の浜田さんとの4人での参加となりました。高知空港から四万十市(中村駅)に向かう電車の中でエントリーシートや地図などを紛失するハプニングに動揺しましたが、無事にエントリー完了です。

       

 

 

スタートは朝の5時半。雨で集合場所のグランドはグショグショで泥だらけになりました。     

 

100キロのコースのうち22キロ地点の標高600mまでを駆け上がらねばなりません。苦しい坂道でした。

 

「最後の清流」と言われるだけ、四万十川は大変に美しい川でした。このスケールは日本では見たことがなく、ここはカナダかと思うようなとにかく雄大な景色でした。しかしながら、とにかく土砂降りが続き、体力も気になり、写真は一枚も撮れませんでした。

 

途中42キロを過ぎた地点で、あと60キロもあるのかと嫌になり出走を後悔しました。そんなとき、2人の伴走者とともに「盲ろう」というゼッケンをつけて一所懸命に走る50代くらいの女性に追い越されたんです。僕の顔は大雨でグショグショでしたが、感動してしまって涙が止まらなくなりました。なんて、僕は甘えてるんだろうと思ったんです。そのとき、僕は完走を自分に誓いました。そののちこの目も見えない、耳も聞こえない女性ランナーと何度も抜いたり追い越されたりというのを繰り返しました(笑)。

 

やり遂げるぞと気合は十分でしたが、75キロ地点からが地獄でした。とにかく、1キロ1キロが遠い。「でも、一歩一歩刻んで前に進む以外ない」と何度も何度も言い聞かせ、前に進んでいきました。制限時間が厳しいため、焦りもありましたが、最後の第7関門94キロ地点になんとかたどり着いたときに、ゴールまで90分の余裕があったため、もう大丈夫だとほっとして感動してとても嬉しかったのを覚えています。でも、もう限界。そのときは走ることができない身体になっていました。あとは歩くだけでも完走できるので焦る必要はないのに、とにかく残りの6キロが恐ろしく恐ろしく長かったです。脚が止まらないようにと念じ続けました。

 

陽が沈み山の中はもう真っ暗です。ランナーにペンライトが渡されました。結局、雨は最後まで止まず、さながら修行僧でした。少しでも辛さを和らげたいと思い隣を走る(歩く?)初老の方にお声をおかけしました。宇和島からきた方で、「今年70歳になるんだ。去年は80キロでリタイアしたんだ。このマラソンは憧れなんだ。何とか完走して、私はマラソンを引退するんだ。」と仰っていました。

 

そして、ようやく息も絶え絶えにゴール。嬉しかった。とてつもなく。沿道やゴール地点で懸命にサポートしてくれる中学生ボランティアたちも忘れられません。「東京に行ってしまうなよ。この素晴らしい故郷をみんなで盛りあげろ」と心の中で祈りました。

 

ランナーそれぞれに目的があり、ゴールがあるわけだから、タイムなんてのはまったく気にしない。生まれ持った才能の差もあるし、練習時間を割ける余裕のありなしもある。道具の良しあしもある。

だから、自分が満足できればいい、これは自分との戦いなんだとつくづく思いました。

        

 

翌日、四万十川に別れを告げ、棒になった脚、石になった背中を抱えて、高知に戻りました。そして、2年ぶりのひろめ市場でカツオのたたきに舌鼓を打ち、帰りました。

 

乾杯。僕の筋肉痛、ひざ痛は異常で、顔がひきつっています。この痛さばかりは経験者でないとわからないと思います(笑)。

 

重岡先輩、増田さん、浜田さん、いろいろサポートありがとうございました。もう、僕は走ることはないですが(もう少し楽なものがいいです)、よい思い出になりました!これからも公私ともにお付き合いください。

 

 

 

 


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